CCIデータアナリストの田口です。今回はGoogleが用意する「Google同意モード(現在はGoogle同意モードv2)」の概要や、OneTrustなどのConsent Management Platform(CMPツール)を通じて収集したユーザーの同意状況が、Google同意モードv2を通じてどの様にGA4やGoogle広告タグに反映されるのか解説します。現在、Googleは欧州経済領域(EEA)を対象に、ユーザーから収集した同意モードをGoogleプロダクトに反映することを求めているため、参考になれば幸いです。
本題に入る前に、現状のCookie利用同意取得について説明します。欧州地域だと「GDPR」という名称で有名ですが、現在Cookieを利用したデータ計測あるいは(リターゲティング広告に代表される)広告配信については、地域によっては事前にユーザーの同意を取得する必要があります。この同意を取得するために活用されるソリューションが「Consent Management Platform」です(CCI社内だと「CMPツール」という略称で呼ばれます)。
CMPツールを提供するOneTrustのWebサイトにアクセスすると、ページ下部にCookie同意を確認するためのダイアログ(Cookie同意確認バナー)が表示されます。
このダイアログを通じてWebサイト訪問ユーザーは自身のWebブラウザに記録されたCookie利用について、Webサイト運営主(運営企業)に同意するか拒否するかを選択することが可能となります。なお、2024年4月現在では日本国内だと運営主(運営企業)はデフォルトではCookie利用はOKとなっており、ただしWebサイト訪問ユーザーの意向で拒否できる選択肢を用意することが強く推奨されています。
【補足】
広告配信プラットフォームによっては独自のポリシーを設けているケースがあります。Cookie利用についての詳細は、広告プラットフォームのヘルプページを確認してください。
Google同意モードを簡単に要約してしまうと「CMPツールを通じてユーザーより収集した同意状況を、Googleの各プロダクトに反映する仕組み」となります。
Googleのヘルプページだと、以下の様に記載されています。
同意モードを使用すると、ユーザーの Cookie またはアプリの識別子の同意ステータスを Google に伝えることができます。これにより、タグの動作が調整され、ユーザーの選択内容が尊重されます。
Google同意モードを通じて送信したユーザーの選択内容はどの様に利用されるのか、ここではGA4を例に説明します。GA4ではユーザー数のカウントロジックを「レポートID」というメニューから選択できます。そして、そのメニューには「モデリング」という項目が用意されています。
※上記のGA4プロパティではGoogle同意モードv2を利用していないため「モデリングは利用できません」となっています。
この様に、Google同意モードv2を通じてGA4やGoogle広告などGoogleプロダクトのタグに同意状況を送信することで、ユーザー特定を回避しつつも統計的なアプローチを通じて主要指標に数字を反映する仕組みをGoogleは展開している…という状況です。
それではGoogleタグマネージャーでどのようにGoogle同意モードが利用できるのか、説明していきます。なお、現在はGoogle同意モードv2が最新となっているため、Google同意モードv2を基準に説明していきます。
まず現在のGoogleタグマネージャーの管理メニューに遷移すると、「同意の概要を有効
する」というチェックボックスが用意されています。
なお、GA4絡みのタグだと、以下の様になります。
上記の例に挙げたGoogle広告やGA4の組み込み同意タイプに含まれるそれぞれの文字列はどのような定義となっているのか、Googleヘルプページの内容を引用する形で説明します。
なお、CCIで過去に行った事例を基に説明すると、CMPツール上での選択次第で、以下の様になります(CMPツール導入時の設計しだいで変化するため、参考としてご覧ください)。
例えば広告系Cookieを同意した場合だと、広告にまつわる同意モードのパラメータ(「ad_storage」「ad_user_data」「ad_personalization」の3点)がいずれも同意された状態として管理しています。
なお、GA4だと「analytics_storage」のみが関係するイメージが強いと思いますが、「ad_storage」「ad_user_data」「ad_personalization」の要素もあり、GA4管理画面でも「データの収集」の箇所でで関連性のある設定メニューが用意されています。
【補足1】
CMPツールでの同意・拒否の収集とは別に、実際にはGoogle各プロダクトの管理画面でも有効・無効を設定しておく必要がある点に留意する必要があります。仮にユーザーが同意してた場合でも、GA4管理画面で設定を有効化していない場合は関連機能は活用できません。
【補足2】
このコラムでは、分かりやすく説明するためにCookieをベースにした説明を行っていますが、「ad_user_data(ユーザーデータ)」については現在、個人情報(PII)の一部をコンバージョン計測欠損の対策として送信するケースがあります。
参考:ポストクッキー時代の広告対策!なぜコンバージョンAPIを導入すべきか?(CCI Data Digサイト)
このケースではGoogleプロダクトへ送信する対象がCookieのみだけでなく、個人情報が含まれる場合も考えられます。個人情報の取り扱いに関してはポリシーページと密接に関係するため、有効にする際はポリシーページの整備状況にご留意ください。
ここまでGoogle同意モードv2の概要などについて説明してきましたが、それでは実際にGoogle同意モードv2を利用した場合、ユーザーのCMPツール上での選択状況に応じてGA4の送信はどのように変化するのか、解説します。
まず、現在のGA4タグでは、送信するパラメータにはページURL(dl)やイベントネーム(en)など多数のパラメータがありますが、その中に「gcs」というパラメータが存在します。この「gcs」で送信する値(バリュー)の内容は、以下の様に分かれています。
実際に、CCIでGoogle同意モードv2に連動した計測設計を行ったWebサイトのGA4送信内容でも、以下の様になっています。
※CMPツール上で分析Cookieには「同意」、広告Cookieには「拒否」を選択したケース
今回はGoogle同意モードv2について解説を行いました。なお、Googleは欧州経済領域(EEA)では2024年3月から以下のレギュレーションを設けています。
お客様のウェブサイトまたはアプリを EEA のユーザーが使用していて、お客様がこのユーザーの行動を Google タグを使って測定する場合は、同意に関するエンドユーザーの選択内容を Google に伝える必要があります。
※Google社サイト「欧州経済領域(EEA)内のトラフィックに使用する同意モードの更新」より
日本国内はまだこの同意に関する伝達は必須要件となっていませんが、将来的に対応が求められる可能性も考えられます。
CCIでは、Google同意モードv2を活用する形でのプライバシー配慮に応じたデータ計測の対応も支援を行うことが可能です。GA4の計測においてもGoogle同意モードv2を活用した対応が求められている場合は、ぜひご相談ください。
なお、GA4支援内容の詳細に関しては、以下のリンクよりご確認いただけます。