column ストラテジストコラム

データ分析は、マーケッター視点で

タイトルを聞いて、データ分析にきちんと対応されている方は「そんなの当たり前だろ?」とおっしゃるかもしれませんが、実は「分析は得意だけどマーケティングはあまり知らない」とか「マーケティングは長年やってきたけどデータ分析は苦手」という方が結構いるのでは?と感じています。
分析とマーケティング、これはセットになって初めて活きてきます。この連載では、これから益々重要になるデータ分析について、デジタル視点やブランディング、マーケティングの視点から考察していきます。

[ 第1回 デジタル&データの潮流 ]

会社でパソコン、合間にスマホ、街にはデジタルサイネージ、
家ではAIスピーカーと日常での様々な接点がデジタル化していますが、
その中で、今後2つの大きな流れが出てくると考えています。

今回はこの2点について考察してみます。

(1)ビジネス変革:デジタル・イノベーターの台頭。

電通イージス・ネットワークが2017年に発表した「世界の広告費成長率予測」によると「2018年には世界のデジタル広告費が初めてテレビ広告費を超える(デジタル広告費のシェアは37.6%、テレビ広告費のシェア35.9%)」と予測されました。
又、アメリカにおいては、デジタル広告においてgoogleやfacebookがシェアを寡占しています。

更にデジタル化の波はメディアにとどまらずビジネス自体を変革していくと思われます。
amazonが小売業界を席巻していますし、UBERはタクシー業界のみならず自動車社会を変えていくであろうと予想されます。
つまり各ビジネスや顧客を結ぶインフラ会社やプラットフォーマーになるようなOSやS/Wを開発した企業が、メーカーや小売といった既存事業の脅威になってくる可能性が高いと考えます。

私は携帯キャリアに在籍していた時期があり、子会社であるモバイルマーケティング事業の経営をしていたのですが、当初、携帯キャリアはカメラ付携帯でカメラ業界にインパクトを与え、更には「ポータルから広告・決済までの垂直型統合ビジネス」の可能性を追求していました。
当時、“日本のモバイルマーケティングは世界最先端”と言われていたのですが、アップルのiPhone登場でその土壌を瞬時に根こそぎ持っていかれたという苦い経験があります。

ビジネス変革

脅威は業界の外から突然やってくるのです。

これからの企業は、既存のビジネス自体のどこかの領域あるいはどこかのプロセスをデジタル化していける可能性が無いか、他業界からの脅威に対峙出来るか、デジタルでのイノベーションを真剣に検討しておく必要があると思っています。



(2)データの多様化:接点の実績が全てデータ化されていく。

データといえば、まずは数字ですが、接点の多様化により当然取得できるデータの形式も多様化していきます。現在でもテキストは勿論、画像、動画、ウェブ上での行動履歴(ログ)、位置情報は非常に重要。
更にこれからはAIスピーカーの普及で音声も重要な形式になっていくと思われます。

またデータ化される中身として最も重要なのは、顧客データでしょう。
顧客データといえば、これまでは調査データやキャンペーンの申込みリスト、契約者データやPOSデータといった顧客データベース、つまり構造系データが中心でした。
しかしソーシャルメディアが普及した今ではソーシャルグラフという非構造データが重要であり、その量は構造データのそれを既に圧倒的に上回っており、更にこれからはIoTにより非構造データが加速度的に増えていきます。

顧客の消費行動も、既に「モノからコト」化しており、お金を使う対象は個々の価値観(マーケティング3.0※)・自己実現の欲求(マーケティング4.0※)により判断されていく為、これまでの属性データだけでのセグメントやターゲティングをしても効果を出しづらく、WEB上の行動データやソーシャルグラフから、如何に顧客インサイトを把握し、適正なメッセージやコンテンツを提供するかが重要になっていきます。
※参考: 2010年『コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則 』、2016年『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』

特に生活者のコンテンツが中心になるソーシャルメディアにおいては、メッセージやコンテンツの文脈まで考慮しないと、“企業の発信は、打ち出す程嫌われる“という事になりかねないでしょう。

またこれからは、5Gの登場とAIの普及でIoTが普及していきます。家電などもデジタルメディア化していく中で、シチュエーションに応じたターゲッティングも有効になってくると思われます。

そして既存の顧客データ(CRM)とデジタルデータの連携が重要になり、これはカスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform、CDP)と言われています。
今後はこの顧客データの構築と活用状況が、企業の成否を更に左右していくと考えられます。

デジタル化による2つの潮流



次回第2回では、「顧客分析のポイント」について触れてみようと思います。

[ 筆者紹介 ]

  • 山崎 浩人
    広告会社でマス広告、コールセンターでCRMを手がけ、携帯事業者でキャリアレップCEO、電通・CCI出資のクロスメディア事業CEOを勤めた。

    その後、外資広告社で企業のブランド戦略やグローバル戦略を支援。現在も戦略系コンサルを担う。

    ・2012年 日本広告主協会Web広告研究会「Web人 of the year」受賞
    ・講演例:「反グローバリズム時代の企業成長とブランド理念」
     https://www.is-assoc.co.jp/seminar20160120/