更新日:1月20日
CCI田口です。今回はGA4で新たに追加された「レポート用識別子」について触れていきます。2022年8月時点におけるGA4管理画面では、レポート識別子のメニュー詳細は以下の様になっています。
選択可能なメニューは
ハイブリッド
計測データ
デバイスベース
この3点となっています。
結論から言うと、ユニバーサルアナリティクスのユーザー数カウントは(User-IDビューを除き)「デバイスID」によるカウントロジックとなっていました。WebサイトであればCookieベースのもの、スマートフォンアプリではアプリインスタンスIDベースのものが適用されており、そのIDでユーザー数を識別する仕様となっています。
それに対してGA4では、現在のデフォルトは「ハイブリッド」になっています。 ハイブリッドだと、上記のキャプチャの通り、「ユーザーID」と「Googleシグナル」が「デバイスID」と共に利用されます(そのほかに「モデリング」がありますが、これは後述で説明します)。
この「ユーザーID」と「Googleシグナル」と「デバイスID」が実際にどのように動作して、ユーザー数のカウントに紐づくのか、図を作成してみました。
※会員機能があるWebサイトで、来訪ユーザーは会員という前提で作成しています。
上記の様に、各IDごとにユーザー数のカウントは異なります。
そして、GA4ではIDの優先順位は
ユーザーID > Googleシグナル > デバイスID
となり、デフォルトではユーザーIDによるカウントがレポートに反映されます。
既にユニバーサルアナリティクスでUser IDビューを利用済みであれば同じロジックになるのでロジックの違いに戸惑いはないかもしれませんが、会員サイトでレポート用識別子を「ハイブリッド」もしくは「計測データ」にしていた場合、ユーザー数は減少している様に見える形になります。一方で、ユーザー数を精緻に見ていく場合はこの機能は有効に働くのではないか…と考えます。
補足①:Googleシグナルでのカウントについて
Googleシグナルに関しては、Google社が独自の仕様で用意するIDで、そのIDの詳細は公開されていません。また、GA4のレポート画面やBigQueryエクスポートでもそのIDを確認する事は不可となっています。
つまり、どのように同一ユーザーとしてマッチングさせているかの詳細はGoogle社のみぞ知る状態ですが、現状はサードパーティCookieベースのマッチングではないか、と言われています。これは私見になり、Google社が公開している内容ではありませんが、Safariユーザーでセグメントを作った場合に年齢や性別などの情報が一切レポートには表示されていないため、信憑性は高いか、と考えています。
ただし、今後Google社は自社のブラウザChromeでもサードパーティCookieの廃止を予定していることから仕様は変更される可能性もあります。ただ、プライバシーへの配慮もありIDのロジックは公開されることはないのではないか…と思います。
補足②:「モデリング」について
ハイブリッドの中には、「モデリング」という項目も用意されています。これは国内ではまだ影響度は少ない状態ですが、海外、特にGDPR圏内ではWebサイトのCookieがデフォルトでOFFになっているため、GA4の計測に利用されるCookieもデフォルトではOFF、という事になります。そのため、実際のWebサイトに訪問したユーザー数が把握しづらい状態となっています。
これを受け、Google社ではCookieのOFFによるユーザー数欠損を補完するため、GA4で新たに機械学習を通じたユーザー補完カウントの機能を追加した…という経緯です。
詳しくはGoogleが用意する以下ヘルプページをご確認ください。同意モードを導入する、一定のトラフィックが無いと稼働しないなど利用にあたってはクリアすべき条件が複数存在します。
今回はレポート用識別子によるユーザー数カウントの影響について整理してみました。この設定1つだけでもユニバーサルアナリティクス利用時と数字カウントに違いが生じますので、機能を理解しながらどのメニューを選択するかを決めていく必要があります。
まだユニバーサルアナリティクスが計測数量する2023年7月1日までは日が残されているので、その間にGA4と並行利用して数字カウントの違いを把握していく事が23年7月以降のGA4本格移行への近道になるのでは、と考えています。
CCIは、本コラムでご説明しているナレッジを踏まえつつGA4の導入や計測カスタマイズの支援を行っています。ご興味のある方は下記からお問い合わせください。