CCIデータアナリストの田口です。今回のコラムでは、デジタル広告施策の効果検証には必要不可欠となる広告パラメータ(UTMパラメータ)を付与する際に留意すべき点について解説します。
まず、広告パラメータの役割ですが、簡単に言えば「広告施策の効果検証に向け、広告経由の自社サイト流入を計測する」ことです。
もし広告パラメータを利用していない場合ですが、自社サイトへの流入は「ノーリファラー」という形で計測されてしまうリスクがあります。この場合、広告施策を実施した後にGA4などの分析ツール上で「結局、どの程度の流入に貢献したのか?」が曖昧な状態となってしまい、発生したコストに対するパフォーマンスは検証できない事態に陥ります。
GA4のデータで効果検証を行う場合だと、Google社は「UTMパラメータ」というルールを用意しているので、このUTMパラメータを元に解説を進めます。UTMパラメータを利用した場合、以下の様なパラメータとなります。
https://example.com/?utm_campaign=2023wintercp&utm_source=yda&utm_medium=display
この場合だと、
- 広告キャンペーン(utm_campaign)は「2023wintercp」
- 広告出稿サイト・メニュー(utm_source)は「yda」
- 広告メディア種類(utm_medium)は「display」
という意味を持つ形となり、自社サイトに流入がどれだけあったのかをキャンペーンごと、サイト・メニューごと、メディア種類ごとに計測できる様に用意されています。
※なお、利用する分析ソリューションによって、この広告パラメータのルールは異なります。詳細はご利用中の分析ソリューションで用意されるヘルプなどをご確認ください。
まずは広告パラメータについての役割を述べましたが、この広告パラメータをいざ運用するとなった場合、いくつか落とし穴にはまるケースも見られますので、よくある落とし穴について以下に挙げてみます。
リンク先URLに広告パラメータを付ける際、既にリンク先URLに「?」が含まれる場合
例えば、リンク先URLが以下の様なURLだった場合が該当します。
https://example.com/?form=2023
この場合ですが、この後にパラメータを付与する際は「?」を利用するのはNGとなります。
詳細は省きますが、URLで「?」を利用できるのは1点まで、となっている為です。
NG例とOK例を以下に示してみます。
NG:「?」で広告パラメータを繋げてしまっている
https://example.com/?form=2023?utm_campaign=2023wintercp&utm_source=yda&utm_medium=display
OK:「&」で広告パラメータを繋げている
https://example.com/?form=2023&utm_campaign=2023wintercp&utm_source=yda&utm_medium=display
つまり、既にURLで「?」を利用している場合、以降に付与するクエリパラメータは「&」にする必要があります。
リンク先URLに広告パラメータを付ける際、リンク先URLに「#」が含まれる場合
例えば、リンク先URLが以下の様なURLだった場合が該当します。
https://example.com/#topic
https://example.com/#menu
上記の様に「#(フラグメント)」を利用するWebページとしては、例えば広告施策用ランディングページ(LP)上で複数の要素が用意されており、特定の要素にすぐにスクロール出来る仕掛けを用意しているWebページが挙げられます。
そして、広告施策を実施した際も、クリエイティブで訴求した要素に連動する形で自社サイトに誘導するために活用する機会があります。
この場合ですが、以下のような構成だとNGとなってしまいます。
NG:
https://example.com/#topic?utm_campaign=2023wintercp&utm_source=yda&utm_medium=display
このURLの場合、実はWebページへのアクセス自体は問題なく行えますが、意図した要素(この場合は「topic」の要素)をファーストビューとして遷移させることが出来ません。
この「topic」の要素をファーストビューに見せたい場合は、以下にする必要があります。
OK:
https://example.com/?utm_campaign=2023wintercp&utm_source=yda&utm_medium=display#topic
つまり、「#」の部分は、最後に記載する必要があります。
このように広告パラメータ付きのURLを用意することで、広告の効果測定も行えつつ、意図した要素をファーストビューとして誘導することが可能となります。
【GA4特有】Google広告に出稿している場合
自社の分析ソリューションとしてGA4を活用している場合は、Google広告の計測にも留意が必要です。Google広告に関しては、GA4の仕様で意図しない形で流入が計測されてしまう場合があります。
詳細は以下のコラム記事でご案内していますので、ご覧下さい。
ここでは簡単に述べさせていただきますが、GA4で広告パラメータを活用する場合は、「utm_content」という区分を上手く活用する事を推奨しています。
・GA4における、UTMパラメータ利用イメージ
【2024年追記】
上記で説明していたGoogle広告におけるUTMパラメータの件ですが、2024年2月にGA4で「セッションの手動参照元/メディア」などのディメンションが追加されたことにより、google / cpcに集約されることなく、UTMパラメータの文字列ごとに集計が行える様になりました。詳細は以下のコラム記事をご覧ください。
今回はGA4における広告パラメータであるUTMパラメータの活用に際して発生しがちな「落とし穴」を留意点として解説しました。広告施策を実施する際、大量の広告パラメータ付きリンク先URLを短期間で発行せざるを得ない状況に遭遇し、チェックがおろそかになってしまう形で発行を行ってしまう場合もあるかと思います。
ただし広告施策実施後に効果検証を実施しようとした際に「意図通りの数値蓄積が行えておらず、想定していた効果検証が行えない」といった事態を防ぐためにも、可能な限り余裕を持ったスケジュールで広告パラメータの発行を行う事を推奨します。
CCIでは、多くの媒体社・プラットフォームの広告を取り扱っているため、多くの広告効果検証に着手してきました。その結果、広告効果検証を精緻に行うための手順や現実的なスケジュール感、そして留意すべき点を明確にご案内することが可能です。
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「デジタル広告施策をKPIを設けてPDCA運用していきたい」
この様な意向をお持ちでしたら、ぜひCCIにご相談下さい。